確定申告の義務はある?

確定申告の準備はお早めに!と広告を打っているのですが、もう早くもなくなってきました。
とはいえまだ準備期間です。余裕をもって申告できるようご確認ください。

申告が必要か確認しましょう

最初の一歩は「申告が必要か」を確認することです。

そんな初歩的な、とツッコミが来そうですが毎年確定申告時期に来るお問い合わせの上位です。
日本では自分で税金計算をして申告する義務があるので、自分で判断しなければならない割に、わかりづらいですよね。

一般的なものは以下の通りです。

  • 給与、年金のほかに20万円を超える所得がある方
  • 給与が2000万円を超える方
  • 給与を2か所以上から受け取っている方
  • 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに賃貸料などの支払を受けた方
  • 不動産収入や事業所得がある方
  • 不動産を売った利益がある方
  • 源泉徴収のない退職金を受け取った方
  • 株式やFX等で源泉徴収されていない方

詳しくは国税庁HPをご参照ください。

所得を確認しましょう

そして毎年SNSでこの内容の投稿が増えるのですが、「所得」がポイントです。
売上≠所得です。
支払を受けた額、売上が「収入」で、諸経費、控除を引いた後が「所得」です。
給与は源泉徴収票が、事業は決算書があるのでわかりやすいですが、副業などは面倒です。

ご質問でよくあるのは、フリーランスで収入があまりないので申告がいるのか知りたい、というものです。この場合、アルバイトなどがあれば先に述べた通り20万超、給与がなければ他の所得も入れて48万超の利益がなければ申告不要です。
48万は基礎控除で誰でも適用があるため、超えなければ課税所得はありません。

ここで、大事なのは経費がいくらかわからないと所得が出せないのです。
青色申告の場合は帳簿が必須なので大丈夫だと思いますが、帳簿をつけていない方は、とりあえず年間の売上と経費の領収書等をかき集めて確認しましょう。
売上は通帳入金や支払通知などで確認できると思います。
経費のレシートや領収書ですが、これらがない場合は、カードや通帳の支払履歴などで確認します。
それも確認できなければ、証拠がないので売上そのままが利益になってしまうのでご注意を。

不動産を売った方

不動産を売却した、土地が収用されて補償金を受け取った、などの場合。
こちらも「売った金額ー(買った金額+譲渡費用)=利益」があれば課税が発生します。
買った金額はご自身で購入された土地建物であれば、契約書があると思います。
代々受け継いだものであれば、とりあえず土地の権利書や謄本あたりを探してみてください。
それもない場合は5%を引いた金額=95%が課税対象になります。

収用は自治体等の都合で渡したものですが、税金の目線では譲渡という扱いになります。
ただし、補償金の内容によって扱いが異なるので、まずは収容の契約書や通知と通常と同じく購入時の書類をご確認ください。

なお、ご自宅の売却、収用などの場合は軽減措置があります。
長くなるためここでは省略いたしますので、詳細は別途ご確認いただくか、ご相談いただければと思います。

これも申告対象になります

稼業でも副業でもないものですが、保険金の満期金の受け取りや、ご自宅にソーラーパネルを設置して売電収入がある場合、フリマアプリでお小遣い稼ぎをしている場合、趣味の同人誌で活躍している場合なども申告が必要です。

・保険金の満期金等の受け取り
ご自身で契約、ご自身で掛けていた生命保険等が満期になって受け取った場合、掛け金よりも多く受け取る分が課税の対象になります。
支払いの通知等に支払額とそれまでの支払った保険料が記載されているので、金額をご確認ください。
注意が必要なのは、保険金を支払っていたのがご自身ではない場合です。
この場合は「贈与」にあたるため、贈与税の申告になります。

・ソーラー発電によるご自宅の利用分は関係ありませんが、売電収入が大きいと、注意が必要です。
会社にお勤めで年末調整で終わっていると思って、見落としがないかご確認ください。

・住宅新築のため補助金を貰ったり、電気自動車のための補助金を貰った金額が大きい場合。
補助金は一時所得になります。
一時所得は基礎控除で50万円まで課税されませんが、それを超える場合申告が必要です。

・フリマアプリでもう着ない服やいらないものを処分するくらいであれば、生活用動産の譲渡として課税の対象になりません。生活の延長で事業ではないからです。

しかし、フリマアプリで積極的に稼いでいると、これは申告対象になります。
売上履歴は把握できると思いますが、いくらで買ったかは記録されていますか?
こちらも「売った額ー仕入額=利益」が所得なので、これがわからないと全額利益になってしまいます。

じゃあ、どこからが対象なのかというと、明確な基準はありません。
ご自身で稼ごうとしてやっている、稼ぐため仕入れている自覚はあるはずなので、ご自身で判断いただくことになります。取引が本格的になれば古物商許可もかかわりますし。

とはいえ、ご自身で生活の延長と主張しても、相当の取引実績があれば、難しいところです。
よく言う「社会通念上妥当かどうか」というやつです。
税務署職員でもフリマ取引にはまって荒稼ぎして兼業禁止違反で処分された人がいましたね。

・同人活動は趣味の世界ですし、建前上頒布とはなっていますが、税金の目線では販売なので利益があれば課税対象です。
最近調査に入られたことをネタにしている方を見かけましたが、案外税務署は見ているものです。

投資の利益は確認していますか

NISAの活用をはじめとする投資のすすめが活発化ていますが、金融資産も取引によっては申告が必要です。
NISA自体は運用益は非課税ですし、株式の口座を「源泉徴収あり」にしていれば、基本的に口座内で課税関係は終了しているので申告不要となります。
しかし、投資の口座を再投資資金の目減りを嫌って「源泉徴収なし」を選択している場合は申告が必要です。
その他、前述の通り源泉徴収ではないFXや仮想通貨取引、金地金の売却をされた方などもご自身で損益を把握して申告が必要になります。

ちなみに、株取引や金地金は取引金額が一定額あると取扱店から税務署に報告が上がるので、申告がないのはすぐにわかります。

そのほかには

所得の条件ではないけれど申請のために必要な申告があります。
医療費控除や寄付金控除、住宅ローン控除の1年目を受ける場合などです。

長くなってきましたので、こちらは次回ご説明いたします。

こうして並べてみると、結構確認することがあります。
確定申告は国税庁の案内が分かりやすいですし、ご自身でできるのであれば、それが良いです。
それでも判断に迷う、申告は依頼したいということがあれば、お気軽にご相談ください。

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