10月も中旬を過ぎると保険料の控除証明などが届いて、お勤めの方は年末調整のお話が出てくると思います。意外とわかっていないと言われることもありますので、年末調整についてあれこれ。
そもそも年末調整とは
基本のき、です。
私も会計事務所に勤めるまで、なんだかわからず毎年書類を書いていましたが、ざっくりいうと会社にお勤めの方の確定申告のようなものです。
確定申告というのは文字通り、「所得を確定させて税金の申告する」行為です。なので、法人の決算申告も所得税の申告も確定申告です。
「おはよう」も「あけましておめでとう」も内容も形式も違いますが挨拶という行為なのと同じです。
自分の税金を自分で計算して申告することが原則ですが、手続きの負担を軽減するため給与所得のみである会社員については支払側が行うほうが早く、正確なので、支払者が手続きするものとして昭和15年から導入されたのが毎月の源泉徴収制度であり、昭和22年から精算まで定められたのが年末調整です。
源泉徴収は毎月の給料から概算で所得税を控除し、年末調整で年間の給与支払額から保険料等控除を加味して年間の所得税額を確定させます。
確定した金額と概算の差額を清算し、結果を記載されたものが源泉徴収票です。
時々「今年は年末調整で戻ってくる金額が少ない、おかしい」とおっしゃる方がいますが、毎月の概算が正しかった、控除等の調整に変更がなかったためで間違いではないケースが多いです。
※実際間違っている場合もありますので、確認は大事です。
年末調整は誰がするのか
最初に「会社が」行うもの、と書きましたが給与計算事務をご依頼いただいている場合業務は会計事務所で行います。給与計算は会社や社会保険労務士へご依頼の場合も、年末調整だけご依頼いただく場合もあります。
ちなみに社会保険労務士は年末調整事務が行えません。
税務申告に関わるため、税理士独占業務です。
逆に税理士は給与計算事務は出来ますが、社会保険の届出事務を請け負うことはできません。
今は勤怠管理システムが進化して簡単に年末調整事務ができるようになってきました。
申告書類については令和3年から押印欄が廃止され、冒頭の保険料の控除証明もデータ受取が可能になりましたので、完全ペーパーレスでも可能です。
既に会社によってはすべてオンライン化されて源泉徴収票もデータ交付というところもあります。
私は何でもペーパーレス推進ではありませんが、マイナンバー管理の負担と回収書類が増えてきたことから、システム上で完結させたほうが書類保存の負担軽減効果は大きいです。
こういった管理が向いている事業者様については導入コストとの兼ね合いにはなりますが、データ化を検討してみるのも良いと思います。
ところで令和6年
令和6年は一回限りの定額減税に関する調整があるため、いつもよりも確認書類が一枚増えています。
定額減税は所得税の計算上の扶養控除とは違う扶養家族の考え方をするため別途家族状況を確認が必要なためです。
令和2年に基礎控除扶養控除等申告書が増えて、今回もう一枚増えて、紙がどんどん増えるのは何なんでしょうね。
めんどくさいな、と思いますが、教えて貰わないとわからないのも事実です。
きちんと把握しないで後々トラブルに発展させないためにも、提出依頼と回収、確認は怠らないようにしましょう。
実際の手続きは国税庁の案内パンフレットがわかりやすいです。
書式もこちらで簡単にダウンロード出来ますので、ご参照ください。