令和6年9月にて中小企業診断士登録をしました。
業務やサービスについて変わるものはありませんが、税務会計よりも少し広い視点で事業のお話ができればと思います。
中小企業診断士とは
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。法律上の国家資格として、「中小企業支援法」第11条に基づき、経済産業大臣が登録します。
引用:一般社団法人中小企業診断協会
中小企業診断士制度は、中小企業者が適切な経営の診断及び経営に関する助言を受けるに当たり、経営の診断及び経営に関する助言を行う者の選定を容易にするため、経済産業大臣が一定のレベル以上の能力を持った者を登録するための制度です。
中小企業基本法では、中小企業者が経営資源を確保するための業務に従事する者(公的支援事業に限らず、民間で活躍する経営コンサルタント)として位置づけられています。
ざっくりした説明では民間の経営コンサルタントという位置づけです。中小企業の実績や経営状況を踏まえて、事業計画及び具体的な施策を行うものです。事業計画、資金繰り相談、事業承継、補助金業務などで活躍される方が多いです。
これらは税務顧問業務で通常カバーするところではありますが、税務、会計のみならず事業管理、現場の運営管理、ITや人事労務、マーケティング等の広い分野を対象としています。
登録までを経験してみて
登録までには筆記試験が2回と口述試験が1回、その後15日(5日×3回)の実務補修を受けました。
実務補修とは、実際の企業へ伺って、企業の現状分析や課題、施策の提案を行うものです。
5~6人のグループで1社を担当するので、参加者は一般企業にお勤めの方、銀行員、自治体職員、他士業等様々な経歴の方がおり、異なる着眼点や手法、スキルに触れることができてとても刺激になりました。
経営者は誰よりも会社のことを考えて、勉強して、いろいろな施策を考えています。初めてその会社を見る人間の意見は、大体は「それはわかってる」「それは検討済みです」と返ってくることが多いです。
一方で、社長一人で課題を抱えてしまうケースが多い中、外部の視点を入れる利点をいくつか実感できる機会ともなりました。
- 違う視点、漏れに気づける
一人で手探りで得る知識、情報よりも体系的に客観的に視点の整理ができるため、気づいていないポイントを見つけることができる - 後回しにしていた課題に向き合う機会になる
わかっているけど着手できていない課題、重要だけど緊急度が低い課題など再度認識することで、思っている以上に大事なことだと気づくこともあります - 事業の再検証ができる
現状分析により、これまでの施策、事業の振り返りと検証の機会になる - 壁打ち、意思決定の後押しになる
多く方は既にやりたいこと、展望をお持ちです。2の再検証を踏まえて、今後の視点が正しいのか、方向性は合っているのかを確認する機会になり、漠然としてる方についてはより具体的にフォーカスできる
税務顧問ではもちろん事業計画、事業環境を対象としていますが、事業の健康診断として、一度整理する機会を持つのも良いと思います。
自身の今後について
企業診断は一旦診断報告書という形で終わりますが、事業計画は継続的な検証と見直しが必要不可欠ですので、コンサルタントは言うだけ言って実行はこちら任せ、とならないためにも継続的なお付き合いが重要となります。
そういった意味では税務顧問という立場は継続的にお付き合いがあり、常にフィードバックをしたり、壁打ち相手となれる存在ですので、より事業計画等を現実的なものにすることができます。
言うだけコンサルタントではなく、経営者の方と一緒に事業と向き合う存在でありたいです。
ところで、実務補修はグループで一つの診断報告書を作るので、途中で方向性が合わず意見がぶつかり合ってバチバチの主張合戦になっているグループもありました。
私は幸い3回とも調整がうまく、落ち着いて進むグループだったので毎回楽しく終えることができましたが、それだけ真剣になれる情熱は凄いと思うのですが、けんかしてもしょうがないのになあ、と思ってしまう質です。