税理士試験に合格したらやりたかったことがいくつかありまして、
「予備校の合格記念パーティに出てパンフレットに載る」についてはちょうどコロナ禍で集まりがなく、あえなく果たすことができませんでした。
その他に「税理士試験体験記」があります。
私の体験記
自分が受験生だったころは試験体験記を読むのが結構好きで、たまに検索してモチベーション維持に役立っていましたので、自分でもやってみたいと思っていました。
が、いざ考えてみると案外書くことがなかったのです。
勉強に工夫があった訳でもなく、普通に学校に通って毎日問題を解いて、一言で言うと気合と根性で何とかしたという、なんとも面白みがないものでした。
勝つ人は勝つまで辞めない、やり遂げる人はやりきるまであきらめない。
結局はそれだけなのかもしれません。
とはいえ、せっかくなので記録だけしてみようと思います。
受験以前のはなし
私の実家が中小企業なので、子供の頃から自宅前の工場でお手伝いという名の遊びに社員の皆さんに付き合ってもらいながら育ちました。このため、モノづくりや企業に関わる仕事がしたいという気持ちが自然に育ったと思います。
とはいえ、学校の班長や学級長の経験で早い段階で自分がトップに向かないと思い知り、また兄弟の一番下なので後継者にもならないと思っていました。
親には申し訳ないですが、将来についてあまり真剣に考えずに、なんとなく進学してしまいましたが、企業や経営にはずっと興味はあったため、大学卒業後は金融機関であれば幅広い事業に関わることができると思い、地元の信用金庫へ就職しました。
ただ、当時は女性の仕事は補助でしかなく、数年すると時間に余裕ができてしまい、張り合いもないので暇に任せて資格試験を受けるようになりました。銀行業務検定、保険販売員やFPなど、職場が勧めるものが大体終わってしまい、何となく簿記に手を出したところで、妙にはまって「もっと勉強したいので上の資格は何か」を追って税理士を知りました。
正直この段階まで税理士を意識したことはなく、ほとんど未知の世界でした。
もともと勉強ができたほうでもなく、地元では通信教育で勉強するしかなかったですが、根がぐうたらなので簿記の2,3級はまとめて半年で終えたものの、1級を受けるまでに3年ほどかかってしまい、受かったら税理士試験を目指そう、などと言っているような時間が無くなってきました。(当時は簿記1級合格で税理士試験の受験資格が得られたため)
このため、とりあえず税理士の実務経験を優先することにしたものの、地元に未経験可の求人がなく、上記の通り、通信だとだらけるので通学して勉強しようということで、東京に行くことにしました。
この時点で30歳独身です。
スタートは遅いし、周りもどんどん結婚するし、親は反対、友達も割と真剣に止めてくれました。しかし、やってもやらなくても後悔するならやったほうが良いし、どうせ失敗しても損するのは自分だけなので押し切りました。
親には実務経験のために仕事もするので生活費や学費の金銭的な支援は一切受けないし、2年で終わるから大丈夫と言っていましたが、腹の内は5か年計画でした。(実際はもっとかかりました)
上京してから
住まいは事前に決めていましたが、仕事は何の当てもなかったので最初は仕事探しが先です。
ハローワークで言われるがまま面接後の御礼のお手紙を書いたところ、これが面接官に刺さったようでありがたいことに「正社員は無理だけど、パートなら」ということで仕事が決まりました。
いろいろと理解があるところだったので、運が良かったと思います。
こうしてやっと受験生活が始まりました。
昼間は実務を教えてもらいながら毎日勤務し、終業後に夜時間の資格の学校に通いました。
この時の先輩税理士が通信教育2年で試験をすべてクリアしたすごい人だったので(後で知った)、軽い感じで「試験は複数科目受けるもの」、もう一人の大先輩からは「税法は法人と所得と相続以外は税理士ではない」と言われ、ある意味覚悟が決まりました。(結局方向性は変わりましたが)
一回目の受験は簿記論と財務諸表論を受けて簿記だけ〇
職場は諸事情により変わりましたが、その後は正社員としていくつかの事務所で経験を重ねつつ、夜間通学を続けることができました。
どの事務所も受験は応援してくれるところだったので、やはり運が良かったです。
二年目は財務諸表論と消費税のつもりでしたが、途中で財務諸表論一本にして〇
三年目は法人税に絞って〇
四年目で消費税に再挑戦して〇
ここまでは調子よかったです。5か年計画行けるのでは?と思ったのですが、
五年目相続税× すごく出来も悪くてくじけそうになる
六年目相続税× それまで合否通知はABC判定のみでしたが、この年から点数が出るようになり、あと3点だったと知り、悔しいのでもう一度粘る気になる
七年目相続税〇 受かっていないと思って結果を見ていなかったら同僚から官報に載っているの教えて貰う
ということで、2年延長で何とか終わらせることができました!
年一回の試験なので、うまく行かないときのダメージは大きかったです。
受験の振り返り
最初に書いたように、勉強方法に何か工夫があったかというとそうでもないです。
普通に仕事をして、夕方から週2~3回通学をして、学校がない日は机に向かっていただけです。
一番の強みは独り身だったことかもしれません。
一人暮らしで家庭がないと、家事や雑事の負担が圧倒的に少なく、時間の融通も利きますので。(裏を返せばプライベートのそういう部分は犠牲になるわけですが)
試験以外でもいろいろ不調が続いて試験を諦めて実家に帰ろうかと地元で就職活動したこともありましたが、面接先の先生が「あと一科目なら絶対最後まで受けたほうが良い」と止めてくださり、おかげでやりきることができました。
人のめぐり合わせ、職場のめぐり合わせと総じて本当に運が良かったと思います。
あとはただの負けず嫌いです。
死ぬ気でやる、と言いますが、死んだらダメなので、周りを全員倒す気でいました。
個人的には仕事の実務と勉強がリンクするので理解が進み、働きながらで良かったと思いますが、事務所によっては仕事に忙殺されて勉強どころではないと聞きますし、やはり運が良かったなと思います。
余談ですが、普通の進学も、こういう勉強の機会なども本当に地方は不利だと思います。
今はオンラインで大分カバーできるようにはなりましたが、通学はできないし、イベント参加も当然難しい。参考書一つ買うにしても、近所の本屋にあることは少ないですし、中を見て比較検討も出来ないので、たまに遠出して本屋で買い漁るか、口コミを見ながら通販です。
進学も選択肢が少ないし、塾も予備校も少ない(私の頃は通っている人はほぼいなかった)ですから、機会とアクセスの難易度が違います。
試験の話に戻りますと、多少ご参考になればということで、
自分にあったスタイルを見つけるのが一番だと思います。
私は夜更かしが苦手で朝の方が集中できるので、夜は早く寝て、朝5時から軽く勉強し、通勤電車で理論を読んで、出勤前に1時間カフェで勉強するのが定型でした。社員旅行でも朝の同じ時間は勉強していました。(体に染みついていて落ち着かなかっただけですが)
それと、ヤマを絶対に張らない。
不思議なことに毎回、これはいいだろうと思って手を抜いたところが出ました。
あと、理論暗記がとにかく苦手だったのでひたすら書いて覚える派だったのですが、書くことが楽しくなるように文房具にはこだわっていて、ここから万年筆を愛用するようになりました。
試験に受かったらあこがれの万年筆を買うぞ!と思って頑張れたので、ご褒美もあるとよいかもしれません。(そして買いました)
地方の受験生の参考になるかというと、さっさと上京しましたし、いい年して独身だったので家庭も気にせず仕事と勉強だけやっていたので、誰の参考にもならない、そんな個人的な記録でした。