確定申告でなくなるもの、なくなったもの

税務署の確定申告会場における税理士派遣に行ってきました。
この時期、税務署は税務署以外に確定申告のための特設会場を設けており、
税理士会から数名会場での相談係として派遣されています。

申告会場はこんな感じです

ご自身で作成した申告書を持参した方は、その場で提出、
未作成の場合は確定申告書をその場で税務署の方に相談しながらe-Taxで作成、申告まで完了できる場となっています。
今はスマホで事前予約となっていますので、かつてのように長時間待つということはありません。

税理士会から派遣された税理士は、その一角で申告書作成の相談や質問対応をしています。
基本的に不動産譲渡や住宅ローンの方はこちらは対象外で税務署の対応となっており、
他は毎年申告される方々なので、皆さん割と慣れています。
寄せられるのは事業の決算書のレビューをしてほしい、固定資産の新規取得をしたため減価償却の確認、控除を世帯の誰が受けるかで迷う、といったご相談です。
過去に税理士に断られたから消費税申告ができない、と言われて必死で手計算したことがありますが、イレギュラーです。

以前は予約制でもなく、紙提出がほとんどだったので、相談係も多忙を極めた、
と諸先輩方からうかがっておりますが、幸い私が経験している限りは割と穏やかです。

今回一番多かったのが、年金の源泉徴収票がありません ⇒ 年金事務所へ行きましょう!でした

通帳から足し算したから大丈夫、とおっしゃるのですが、集計漏れも社会保険料の控除確認もできないですし、ここだと会場近くに年金事務所があるので、再発行をお勧めしました。

これも、マイナンバーがもう少し一般化すれば、その場でカードで読み込んで終わるか、
すべてのデータが紐づけばそもそも確定申告自体がなくなるはずですね。

なくなったもの

申告はまだ残っていますが、なくなったものは増えています。
電子申告の場合は、省略できたものですが、紙で出す場合も不要になったものが増えました。

  • 申告書の押印
    押印欄がなくなりました
  • 一部書類の添付
    医療費控除の明細や、給与、年金の源泉徴収票は添付不要になりました
    医療費の明細は5年間お手元で保存が必要です
  • 税務署の受付印
    以前は紙で出すと受付日のハンコを押してくれましたが、令和7年1月から廃止となりました
    申告会場でも書類受付の方がいなくなり、投函箱が鎮座していました

ところで先日税務署へ電子送信できなかった書類を提出に行ったら受け付けましたと書いた紙をもらいました。押印の代わりの暫くの対応だそうです。
ただのプリントに信頼性もないし、いらないんですが、「作ったので!」と。
お土産ですか…と思いましたが、後日別の窓口の方は何も言わなかったので、個人差があるようですね。
日付まで印刷されていたので、毎日廃棄も出るでしょうし、いわゆる環境配慮はどうなんだろう…

なくなっていくもの

めんどくさいと騒いでいた定額減税ですが、思い切り振り回されておりました。
税額試算して税金出ますね、と言った後で定額減税の存在に気づき、慌てて訂正しました。
申告書を書きながらであれば欄があるので大丈夫ですが、電卓叩いて話しているとついつい…
しかも、人によって給付が終わっているのか還付になるのか違うので、
この差額がどうなるのかというと…とりあえず通帳見てね、という心もとない回答しかできず。
印象深いやつでした。

先に触れた通り、いずれは確定申告がなくなる、のでしょうかね。
海外ではもともと課税庁から計算されて通知が来る国もあります。

たまに「AIで税理士はいらなくなるんでしょ?」と揶揄って(?)くる方もいますが、
なくなるんならそれでいいんじゃないでしょうか。
人間と違ってAIには判断のブレがないと思いますし(状況設定によりますが、機械的に判断する部分においては)、計算も早いです。
不自然な数字も通らなくて済みますし、理想的ではないかと。

今の時代に駕籠かきはいませんが、タクシードライバーはいます。
あるいは今でも人力車は人気です。
活動するフィールドが変わるか、専門性の使いどころが変わるのか、
そんなことを考えたりもしますが、
差し当たり今は必要な役割がありますし、
自分ができることを頑張っていこうと思っています。

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